看護部DX推進担当 上川重昭
2024年9月11日から12日にかけて、東京のホテル椿山荘にて開催された「Hospital Management Japan Summit 2024」(主催:マーカスエバンズ)に参加しました。
今回のサミットは、医療関係者約50名が集う招待制のセミナー&ミーティング形式で行われ、医師、理事長、看護師、放射線技師、事務部長など、多職種が一堂に会し、医療現場の課題や今後の展望について意見交換を行いました
サミットの主な議題には、ゲノム医療や病院DX、病院経営の未来など、幅広いトピックが含まれており、私は「現場の視点で病院DXを考える」というテーマで登壇させていただきました。
飯塚病院のIT取り組みや看護部におけるDX推進の具体的な事例を紹介したところ、多くの共感と反響をいただき、同様の課題に直面している他の医療機関からも貴重なフィードバックを得ることができました。
Hospital Management Japan Summitにおいて特に印象的だったのは、診療報酬改定や医師の働き方改革の影響に関する議論です。
多くの病院が患者数の回復を見込んでいるものの、収益の改善には至っていないという現実が浮き彫りとなりました。多くの病院で赤字が見込まれており、新しい収益源を模索する必要性が高まっています。
一部の医療機関では、自由診療や健康診断を強化したり、清掃業務を患者に委託することで社会復帰を支援する試みなど、経営効率を高める新しい取り組みが紹介されました。
これらの事例は、病院経営と患者支援が両立する可能性を示しており、今後の参考にしたいと感じました。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進についても、慎重な意見交換が行われました。
医療機関がAIやロボティクスを導入しようとしているものの、費用対効果や技術の限界に対する懸念が共有されました。
AIは単一タスクでは高精度を発揮しますが、複雑な場面では人間の判断が必要であり、AIを導入することのデメリットも導入の障壁となっています。
私自身のプレゼンテーションでは、DX推進において看護師が重要な役割を果たしていることを強調しました。
多くの参加者からも「看護師のITリテラシーの向上」がDX成功の鍵であると感じているとの意見があり、私たち看護師の役割の重要性を再認識しました。
看護師は医療現場のフロントラインで働く職種であり、ITスキルの向上が、現場全体の効率化に直結すると考えています。
今回のサミットを通じて、病院DXの推進には「現場目線」が欠かせないことを改めて実感しました。
上層部のビジョンと、現場で働くスタッフが感じる課題にはギャップがあり、その橋渡しをするのもDX推進担当の役割です。技術の導入だけでなく、業務プロセスそのものをどう変革していくかが成功の鍵となります。
これからも飯塚病院のDX推進に尽力し、現場の声に寄り添った変革を進めていきたいと思います。
今回のサミットで得られた知見をもとに、さらなる課題解決に向けて取り組んでまいります。